症状から探す

むくみ

患者に寄り添う医師

むくみ(浮腫)とは

むくみ(浮腫:ふしゅ)とは、体内の水分バランスが崩れ、細胞の周り(皮下組織)に異常に水分が溜まった状態を指します。人間の体の約60%は水分ですが、通常は血管や細胞の中に一定の割合で保たれています。何らかの原因で血管から水分が漏れ出したり、血管に戻れなくなったりすると「むくみ」として現れます。

特に足は重力の関係で水分が溜まりやすく、最もむくみが出やすい部位です。多くの場合は一過性のものですが、中には心臓、腎臓、肝臓といった重要臓器のSOSであるケースも少なくありません。


こんな「むくみ」は要注意

以下の項目に当てはまる場合は、背後に重大な病気が隠れている可能性があるため、放置せず専門医の受診をお勧めします。

  • 靴や指輪が急にきつくなった
  • 足のすねを数秒間指で押すと、跡が深く残り、なかなか戻らない
  • 急激に体重が増えた(1週間で2〜3kgなど)
  • むくみだけでなく、息切れ、動悸、疲れやすさを感じる
  • 片方の足だけが急に腫れ、痛みや赤みを伴う
  • 尿の量が減った、または尿が泡立つ
  • 朝起きた時に、顔やまぶたがひどく腫れている

むくみの原因

むくみの原因は多岐にわたります。当院では「両足に出るか、片足だけか」という視点を診断の第一歩としています。

1.全身疾患によるむくみ(主に両足・全身)

心臓や腎臓など、全身の水分調節を司る臓器の機能低下が原因です。

  • 心不全: 心臓のポンプ機能が弱まり、血液が滞って水分が血管外に漏れ出します。
  • 腎不全・ネフローゼ症候群: 腎臓から水分を排泄できなくなったり、血液中のタンパク(アルブミン)が尿へ漏れ出したりすることで、血管内に水分を保持できなくなります。
  • 肝硬変: 肝臓でタンパク質が作れなくなり、血管の浸透圧が低下してむくみや腹水が生じます。
  • 甲状腺疾患: 代謝を司るホルモンの異常により、独特のむくみが生じることがあります。

2.局所的な原因によるむくみ(主に片足)

足の血管やリンパ管のトラブルが原因です。

  • 深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群): 足の血管に血の塊(血栓)が詰まる病気です。肺に飛ぶと命に関わるため、緊急の対応が必要です。
  • 下肢静脈瘤: 静脈の弁が壊れ、血液が逆流して足に溜まる病気です。
  • 蜂窩織炎(ほうかしきえん): 皮膚の深い所に細菌が入る感染症で、赤みと痛みを伴います。

3.生活習慣・その他の原因

  • 長時間同じ姿勢(立ち仕事・デスクワーク)
  • 塩分やアルコールの摂り過ぎ
  • 薬剤の副作用(一部の血圧を下げる薬など)
  • 運動不足による筋力低下(ふくらはぎのポンプ機能低下)

むくみのリスク・合併症

むくみそのものよりも、「なぜむくんでいるのか」という背景疾患がリスクとなります。

  • 心血管・肺への影響: 心不全が悪化すると、肺に水が溜まる「肺水腫」を引き起こし、激しい呼吸困難に陥ることがあります。
  • 腎機能の低下: むくみを放置することは、腎臓に過度な負担をかけ続け、将来的な人工透析のリスクを高めることにつながります。
  • 血栓症のリスク: 片足のむくみを放置すると、血栓が肺に飛ぶ「肺塞栓症」という突然死の原因にもなり得る合併症を招く恐れがあります。

むくみの症状チェック

むくみは部位や時間帯によって特徴が異なります。

  • 足: 夕方になるとひどくなる(生理的)、または一日中改善しない(病的)。
  • 顔・まぶた: 朝起きた時に腫れぼったい(腎不全などの可能性)。
  • 手・指: 関節が曲げにくい、指輪が外れない。
  • 全身: 全身の倦怠感、急激な体重増加。

むくみの診断

当院では、問診と視診に加え、以下の専門的な検査を組み合わせて「むくみの真犯人」を特定します。

  • 血液検査: 腎機能(クレアチニン)、心不全マーカー(NT-proBNP)、肝機能、アルブミン値、甲状腺ホルモン、血栓の指標(Dダイマー)などを測定します。
  • 尿検査: タンパク尿の有無を確認し、腎疾患の可能性を調べます。
  • 心エコー(心臓超音波検査): 心臓の動きや弁の状態をリアルタイムで観察し、心不全の有無を正確に診断します。
  • 下肢静脈エコー: 足の血管に血栓がないか、静脈瘤がないかを詳しく調べます。
  • 胸部レントゲン: 心臓の拡大や、肺に水が溜まっていないかを確認します。

むくみの治療

原因疾患の治療を最優先し、並行して「むくみそのもの」を軽減するケアを行います。

1.根本原因の治療

  • 心不全・腎不全の管理: 専門医による適切な薬剤調整(利尿薬や心臓・腎臓を保護する薬など)。
  • 血栓症への対応: 血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)の使用。

2.生活習慣の改善

  • 塩分制限: むくみ対策の基本です。水分を溜め込みにくい体を作ります。
  • 適度な運動: ウォーキングなどで「第二の心臓」であるふくらはぎを動かし、血流を促します。
  • 足の挙上: 寝る時に足を少し高くして、重力で水分を心臓に戻しやすくします。

3.圧迫療法

  • 医療用弾性ストッキング: 足に適度な圧力をかけ、水分の滞留を防ぎます。※原因によっては使用を控えるべきケースもあるため、医師の指導の下で使用します。

当院でのむくみ治療の特徴

杏クリニック(狭山市)は、むくみを「単なる足の症状」ではなく、「内臓からのサイン」として捉え、高度な専門診断を提供します。

循環器・腎臓内科の連携による「心腎連関」へのアプローチ

むくみの二大原因である「心臓」と「腎臓」は、互いに強く影響し合っています(心腎連関)。当院では循環器内科専門医と腎臓内科専門医が在籍しているため、心臓が悪くて腎臓がむくんでいるのか、その逆なのかを的確に判断し、両方の臓器を同時に守る治療が可能です。

徹底した原因追究とスピード診断

当院では院内で迅速な血液検査や超音波検査が可能です。「ただの疲れですね」で終わらせず、エビデンス(証拠)に基づいた診断を行い、血栓症などの緊急を要する疾患を見逃しません。

在宅医療の視点を活かした生活指導

多くの高齢者や合併症を持つ患者様を診てきた経験から、薬だけに頼らない生活指導(減塩、運動、セルフチェック法)を、看護師や管理栄養士と共にチームで行います。

よくある質問(FAQ)

Q

むくみがある時は、水分を控えたほうが良いですか?

A

自己判断での極端な水分制限は危険です。心不全や腎不全などで医師から制限を指示されている場合を除き、適切な水分摂取は必要です。むしろ、過度な脱水がむくみを悪化させることもあります。まずは受診して、制限が必要な状態かどうかを確認しましょう。

Q

市販の着圧ソックスを使ってもいいですか?

A

一過性のむくみには有効なこともありますが、動脈硬化が強い方や、重度の心不全がある方が使用すると、かえって症状を悪化させる恐れがあります。一度専門医に相談し、適切な圧力を確認してから使用することをお勧めします。

Q

むくみは何科を受診すれば良いのでしょうか?

A

まずは「内科」で構いませんが、当院のように循環器(心臓)や腎臓の専門医がいるクリニックであれば、より深く正確な診断が可能です。

Q

老化のせいだと言われましたが、良くなりますか?

A

加齢による筋力低下が原因の一つであることは事実ですが、適切な運動指導や、隠れている軽度の心機能低下を治療することで、多くの場合むくみは改善し、生活が楽になります。「年だから」と諦める前に、ぜひ一度ご相談ください。